いよいよ今週末は第9回Theホンモノ市場が開催されます。
道下工務店の家づくりや暮らしの楽しみ方の情報満載のイベントになっていますので楽しみにしてくださいね。
さて、現在進行中のリノベーション工事は解体作業が終り、快適な住宅にするための断熱工事がいよいよ始まることになってきました。
今回も世紀のリノベーションの軌跡をお楽しみください。
<第四話>光冷暖システムとの出会い
今回の改築プラン提案において、道下工務店だけがエアコンに頼らない「光冷暖システム」を提案してきたものの、イニシャルコストを聞くと、エアコンの10倍程度かかるとのこと。そこで、原理裏付けなしにはとてもではないが投資をするわけにはゆかず、快適な気候環境と住環境の関連について調べてみることにしました。
熱の伝わり方には、
① 輻射(放射ともいう)=太陽光・暖炉・床暖房・光冷暖システムがあります
② 対流 =石油ストーブ・ファンヒーター・エアコンがあります
③ 伝導 =カイロ・電気毛布があります
では、どの熱の伝わり方が心地よいかというと、断然『輻射』なんです。すなわち遠赤外線が人体に当たり、熱をもらう状態が一番快適です。(夏は人体の熱を奪われる状態です)
この事を生活の中で体験している現象としては、冬の寒い日に縁側で太陽光を浴びて、ポカポカ気持ちの良い快適状態が輻射暖房です。一方、冷房に当たるのは、夏の暑い日に木陰に入ると体の熱が奪われて涼しく感じること。これが輻射冷却です。
一方、気候の三要素と人体が心地よいと感じる範囲は次の通りです。
④ 気温=18℃~25℃
⑤ 湿度=45%~65%
⑥ 気流=微風又はゼロ
又、室内の住環境に限って快適な環境とは、
⑦ 室温の上下左右のバラツキが少ないこと
⑧ 室内気温と外周温度(壁・天井・床・窓)の差が少ないこと。
(“断熱リフォーム”の肝になります。後述予定)
以上の8因子が、人体が感じる快適さを左右する要素です。
ここまでの基礎知識の基で、「エアコン」と「光冷暖システムの快適性」の違いを比較してみます。エアコンでは、温風・冷風の吹き出しによる対流空調です。ですから・・・
・ 部屋全体の室温の均一化(上下左右)が難しい
・ 人体に気流が当たる
・ 外周温度と室温の温度差が大きい
など、人が不快と感じる要素が多く含まれています。
一方、今回我が家に採用した「光冷暖システム」ですが、実は「光冷暖」は商品名で、ラジエターパネルを用いた輻射冷暖房方式というのが一般的でしょうか。
ラジエターパネルを用いた暖房では、デイオンギー社のオイルヒーターをはじめ、世界中で輻射式暖房器具は快適であるということは折り紙付です。
ところで、日本ではエアコンに用いるヒートポンプを熱源としてラジエターパネルに冷水を通して冷房し、冬は温水を通して暖房をするシステムを販売しているメーカーが5社あります。「光冷暖システム」というのは、その中の1つのメーカーが製造している商品名です。
ではなぜラジエターパネルを用いた冷暖房方式が快適かというと、熱の伝わり方が遠赤外線を用いた輻射熱である為、気流が生じません。この遠赤外線による人体への熱の伝わり方が人が最も快適と感じる冷暖房方式なのです。ここまでは、理科の常識の範囲内で疑う余地はありません。
あとは、費用と効果(=快適性)との比較です。ランニングコストに当たる電気代については今回エコメーターを取り付け調査公表していきます。
最後に、光冷暖システムのややこしい話をします。
光冷暖システムは、パネル冷暖器具だけの空調システムではなく、家中の漆喰壁にセラミック(パウダ)を煉りこみます。そして、ラジエターパネルが発した遠赤外線(=光)を壁や天井のセラミックが反射増幅させて、家全体から人体に熱を移動させる乱反射による輻射方式というものです。
ですから、少ない電力で家のどこにいても快適な気温・湿度・気流が得られるという夢の冷暖システムと宣伝されています。この辺は、私にとっても常識を超えた世界ですから、今回の投資・体験を通じて結果を待つしかありません。
ということで、これだけの投資をするわけですから、今回のリノベーションを「快適環境」だけを追求したのではもったいないと思い、「住環境の快適性と健康」との関連について考察していくことにし、次号以下に述べたいと思います。
(追記)
光冷暖システムについて詳しく知りたい方は、光冷暖システムのホームページ動画や人間と歴史社出版の佐々木久夫著「遠赤外線光冷暖革命」を参照ください。
第5話:イノベーションと設計コンセプトの肝
第6話:快適性と健康の追求
第7話:アンチエイジングな家
T氏プロフィール
昭和56年 兵庫県から宅地分譲地を購入し、翌年三田市内の工務店で新築する。
これを期に神戸市から三田市に移り住んだ三田歴32年のニュータウン1号族。
60歳を前に築30年住宅の活用方法を『快適と健康』に的を絞ったリノベーションを立案し、この度の改築プロセスと効果について公開することを思い立つ。
本業は土木・電気・管工事の設計監理業務